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釧路地方裁判所 平成元年(ワ)97号 判決 1993年5月25日

原告

甲野太郎

右訴訟代理人弁護士

今瞭美

今重一

木村達也

宇都宮健児

清水祥

横山哲夫

山本政明

神山啓史

長谷川正浩

永尾廣久

加島宏

小松陽一郎

白波瀬文夫

木村哲也

山崎敏彦

山下誠

村上正己

尾川雅清

田中義信

大橋昭夫

河西龍太郎

安保嘉博

折田泰宏

石田正也

戸田隆俊

蔵元淳

加藤修

鈴木健治

田中清隆

矢田政弘

上野正紀

岡田栄治

大塚武一

椛島敏雅

藤本明

伊藤誠一

石田明義

高崎暢

関口正雄

中田克己

山本行雄

中村宏

石口俊一

原垣内美陽

武井康年

山田延廣

坂本宏一

我妻正規

被告

協同組合乙専門店会

右代表者代表理事

丙野次郎

被告

丁山三郎

右両名訴訟代理人弁護士

荻原怜一

被告

右代表者法務大臣

後藤田正晴

右指定代理人

館田孝廣

外四名

主文

一  被告協同組合乙専門店会は原告に対し金八万円及びこれに対する平成元年六月九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告丁山三郎は原告に対し金五万円及びこれに対する平成元年六月九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告国は原告に対し金五万円及びこれに対する平成元年六月九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  原告の被告らに対するその余の請求を棄却する。

五  訴訟費用は、原告に生じた費用の三分の一を被告らの負担とし、その余の各自に生じた費用を各自の負担とする。

六  この判決の第一ないし第三項は仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求める裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは各自原告に対し金三〇〇万円及びこれに対する平成元年六月九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  第1項につき仮執行宣言

二  被告らの請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

3  仮執行免脱宣言(被告国)

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  当事者

(一) 原告は、雪印乳業株式会社に勤務する会社員であり、甲野一郎(以下「一郎」という。)の父である。

(二) 被告協同組合乙専門店会(以下「被告組合」という。)は、組合員の取扱商品についての商品券の発行等を目的として中小企業等協同組合法に基づいて設立された法人であり、傘下に多数の中小企業を擁し、それらの組合員を加盟店として割賦購入あっせん業務、割賦債権の買取り及び譲渡業務やクレジットカードを利用して総合割賦購入あっせんの業務等を行っているが、中小企業等協同組合法上事業内容に制約があることから、貸金業を業とする乙信用株式会社(以下「乙信用」という。)を設立し、実質的には、被告組合の名称において貸金業を営んでいる。

(三) 被告丁山三郎(以下「被告丁山」という。)は、司法書士として裁判所、検察庁又は法務局若しくは地方法務局に提出する書類を作成すること、登記又は供託に関する手続について代理すること等を業とする者である。

(四) 戊田四郎(以下「戊田」という。)は、○○地方法務局所属公証人として、△△市に公証役場を置いて国の公権力の行使である公証事務を処理していた者である。

2  公正証書の作成

戊田は、昭和六二年五月二〇日、債権者代理人己田薫(以下「己田」という。)及び債務者及び連帯保証人代理人被告丁山の作成嘱託に基づき、次の内容の準消費貸借契約公正証書(昭和六二年第七八七号。以下「本件公正証書」という。)を作成した。

(一) 債権者 被告組合

(二) 債務者 一郎

(三) 連帯保証人

原告及び庚谷五郎(以下「庚谷」という。)

(四) 準消費貸借契約

債務者は債権者に対し、昭和六二年三月二四日現在において、債務者の加盟店から買い受けた衣類等の買掛代金二六八万二〇四〇円の債務を負担していることを承認し、これを同額の消費貸借の目的とすることを合意する。

(五) 元金弁済期限

昭和六二年四月から昭和六四年四月まで毎月三〇日限り一〇万〇四三〇円ずつ、昭和六四年五月三〇日七万〇四三〇円、昭和六四年六月から同年七月まで毎月三〇日限り五万〇四三〇円ずつ支払う。

(六) 利息

年一割五分とし、元金と同時に支払う。

(七) 遅延損害金 年三割

(八) 期限の利益喪失約款

割賦金の支払を一回でも怠ったときは、当然期限の利益を失う。

(九) 強制執行認諾条項

3  債権差押命令

旭川地方裁判所紋別支部裁判官は、昭和六二年一二月二四日、被告組合の申立てに基づき、次の請求債権により債権差押命令を発付し、原告が第三債務者雪印乳業株式会社から受ける給料に対する差押えをした。

(一) 元金 二一七万八六〇〇円

ただし、本件公正証書に表示された金二六八万二〇四〇円の残金

(二) 利息 二万七七五四円

ただし、(一)の元金に対する昭和六二年八月三一日から同年九月三〇日まで(三一日)年一割五分の割合による金員。

(三) 損害金 一三万七八七八円

ただし、(一)の元金に対する昭和六二年一〇月一日から同年一二月一六日まで(七七日)年三割の割合による金員。

なお、債務者は昭和六二年九月三〇日を支払日とする支払をしないので、同日の経過により期限の利益を失ったものである。

(四) 執行費用 六〇八五円

(五) 合計 二三五万〇三一七円

4  原債務

本件公正証書に表示された準消費貸借契約の原債務(旧債務)は、次のとおりである。

(一) マイカーローン分

(1) 契約の性質 立替払契約

(2) 契約日 昭和六〇年七月一二日

(3) 自動車代金 一七八万円

(4) 手数料 六四万〇八〇〇円

(5) 支払方法 昭和六〇年八月から昭和六四年七月まで毎月末日限り五万〇四三〇円ずつ(初回は五万〇五九〇円)支払う。

(6) 昭和六二年三月二四日現在の残額

一四一万二〇四〇円

(二) 日専連カード利用による貸金債務

別表一のとおりである。

(三) 日専連カード利用による買物関係債務(割賦販売法三〇条の三の適用のない買物分)

別表二のとおりである。

(四) 日専連カード利用による買物関係債務(割賦販売法三〇条の三の適用のある買物分)

別表三のとおりである。

(五) 遅延損害金 一九万九六八四円

5  本件公正証書の違法

(一) 代理権の不存在

(1) 原告は、マイカーローン分につき保証人になったことはあるが、右債務につき公正証書の作成嘱託のための権限を委任したことはない。

(2) 日専連カード分については、公正証書作成嘱託の委任はもちろん、そもそも保証人になったこともない。

(3) すなわち、原告は、一郎の妻花子からマイカーローンの切替えをするのに実印と印鑑登録証明書が必要であるから貸してほしい旨を言われ、一郎に実印と印鑑登録証明書を渡したことはあるが、その際、公正証書の作成を嘱託する等の説明は何ら受けなかった。

(4) よって、本件公正証書は、無権代理人によって作成されたものであり、無効である。

(二) 双方代理

(1) 本件公正証書の作成嘱託につき、被告組合の代理人になっている己田は、被告丁山の下で事務長として働いている従業員である。

(2) よって、本件公正証書は、実質的には、被告丁山が債権者である被告組合と債務者である原告らの双方を代理して作成嘱託されたものであり、無効である。

(三) 請求権の同一性の不存在

(1) 本件公正証書は、「債権者の加盟店から買受けた衣類等の買掛代金」を準消費貸借の目的としている。

しかしながら、日専連カード利用による買物関係債務は、立替金債務であり売買代金債務ではない。また、実質的にも、右買物関係債務の内容は、売掛金元金だけでなく手数料も加えられている。

(2) よって、本件公正証書は、存在しない債権を表示するものとして無効である。

(四) 利息制限法違反

(1) 本件公正証書の「衣類等の買掛代金」の中には、前記4(二)の日専連カード利用による貸金分が含まれているが、利息制限法一条一項に違反する高利であり、アドオン方式により実質年率四五パーセント程度の将来の利息を加算した計算方法であるにもかかわらず、利息制限法違反の利息の支払につき元本充当計算をせず、残額をそのまま原債務の元本としている。

(2) よって、本件公正証書は、右の超過部分につき違法がある。

(五) 割賦販売法違反

割賦販売法の適用がある割賦購入あっせんによる債務、すなわち、本件におけるマイカーローン分(割賦販売法二条三項二号)及び日専連カード利用による買物分のうち支払回数が二か月以上の期間にわたり、かつ、三回以上のもの(同法二条三項一号)は、遅延損害金が年六パーセントに制限されるから(同法三〇条の三)、右の債務を原債務として準消費貸借契約を結んでも、その利息及び遅延損害金は年六パーセントに制限される。

したがって、本件公正証書は、右に違反する限度で無効である。

(六) 遅延損害金について

一九万九六八四円は、何ら根拠を有しない債権である。

6  被告組合の不法行為

(一) 被告組合担当者は、原告や一郎に本件公正証書を作成する旨の説明をしていなかったから、少なくとも原告の有効な代理人選任依頼契約がなかったことを知らなかったことにつき過失があった。

(二)(1) 被告組合は、双方代理、請求権の同一性の欠如、利息制限法違反、割賦販売法違反等の事実を知りながら、訴訟を提起した場合には到底認められない高利を内容とする本件公正証書の作成を嘱託した。

(2) 被告組合は、昭和六二年三月、弁護士今瞭美から、被告組合を債権者とし、辛谷六郎を債務者とし、本件公正証書と同一の定型文言を有する公正証書(<書証番号略>)に関し、その債務額が利息制限法に違反した異常な高利となっていること、右辛谷は被告組合の加盟店から衣類等を購入した事実はないこと等を指摘した書面の送付を受け、右公正証書で強制執行等の手続を執った場合には、財務局への申告等の厳しい措置を執る旨の警告を受けていた。

(3) よって、被告組合は、本件公正証書に利息制限法違反等の違法事由があることを熟知していた。

7  被告丁山の不法行為

(一)(1) 被告丁山は、司法書士として委任者の立場にある原告の意思を直接確認すべきであった。

すなわち、被告組合のような信販会社が顧客から取得する委任状については、本人にその内容を説明していない等の問題があることは周知の事実であるから、信販会社が債務者の委任状を持ち込んで公正証書の作成を依頼してきた場合、委任者である原告に対して、委任状に自分の意思で署名・押印したか、作成される公正証書の内容について知っているか、さらに、強制執行の認諾の意味を理解しているか等について直接確認すべき義務があった。

(2) しかるに、被告丁山は、何らの調査、確認をせずに本件公正証書の作成嘱託をしたものである。

(二)(1) 被告組合から被告丁山に持ち込まれた委任状(<書証番号略>)は、原告の住所が「興部町泉町」から「興部町字興部○○○番地×××」へと全く異なるものへ訂正されていた。

(2) したがって、被告丁山は、司法書士として、真実本人である原告が委任状を書いたのか、なぜ訂正されたのかを確認すべき義務を負っていた。

(3) しかしながら、被告丁山は、右の点について何らの調査、確認をしなかった。

(三)(1) 被告丁山の本件公正証書の作成嘱託行為は実質的に双方代理となるべきものであるから、被告丁山としては、民法一〇八条ただし書の例外に当たる事情があるかを確認すべきであった。特に、被告丁山は、被告組合が作成している公正証書は顧客が約定どおりの支払を怠った場合に新たな支払約定の合意を前提として作成されるものであることを知っており、したがって、不履行前の当初契約時に作成される公正証書の場合に比し、被告組合と顧客との間に取引内容について種々意見の相違が生ずる可能性があることを容易に予測することができた。

したがって、司法書士として本件公正証書の作成の依頼を受けた被告丁山としては、原告に直接面談する等の方法により、原告と被告組合間の合意に食い違いが生じなかったかどうかを確認すべき義務があった。

(2) しかるに、被告丁山は、何らの確認をしなかった。

(四)(1) 被告丁山は、被告組合から依頼されて被告組合が裁判所に提出する訴状等を作成したこともあり、被告組合が割賦購入あっせん業務を行い、あわせて貸金業務を行っていることを知っていたし、少なくとも、容易に知ることができた。

(2) したがって、司法書士として公正証書の作成嘱託の依頼を受けた被告丁山としては、準消費貸借契約の原債務が何かについて特別に注意をし、強行法規に違反するような内容の公正証書の作成嘱託をしないようにすべき義務を負っていた。

(3) しかるに、被告丁山は、被告組合が優良企業であり間違ったことをするはずがないとして、右の確認を怠り、請求権の同一性を欠き、利息制限法及び割賦販売法に違反する内容の本件公正証書の作成を嘱託した。

8  戊田の不法行為

(一) 公正証書の作成に当たり、公証人法上公証人に要求される審査の権限及び義務の範囲は、法律行為の法令違反の有無、法律行為の有効性、行為能力の有無等にまで及び、当然それは実体的審査までを要求している。

すなわち、公証人は、法律専門家として有する法律知識を用いて、善良な管理者の注意義務を尽くして、嘱託人双方からの主張を聞き取り、事実を確認し、嘱託人の真意に従った公正証書を作成すべき義務を有する。

(二)(1) 戊田は、本件公正証書が被告組合の顧客が約定どおりの支払をしなかったため作成されることを知っていた。

(2) しかも、本件委任状(<書証番号略>)中の原告の住所は、「興部町泉町」から「興部町字興部○○○番地×××」へと全く異なるものに訂正されていた。

(3) したがって、戊田は、本件においては、嘱託人たる原告が公正証書作成嘱託についての委任の意思を有しているか否かを直接確認すべきであった。

(4) しかるに、戊田は、この点につき何ら確認しなかった。

(三)(1) 本件公正証書は、既に負担している種々の債務を目的として準消費貸借契約を結ぶというものであるから、戊田は、被告組合に確認し、さらに必要があれば原告に直接確認する等の方法により、原債務の内容がいかなるものであったか等について確認すべきであった。

(2) しかるに、戊田は、右義務に違反し、請求権の同一性を欠き、利息制限法及び割賦販売法に違反する本件公正証書を作成したものである。

(四)(1) 戊田は、本件公正証書の作成嘱託につき、被告組合代理人となっている己田が被告丁山の下で働いている事務長であることを知っていた。

(2) したがって、戊田は、右のように実質的に双方代理に当たる嘱託を受けた場合には、被告丁山に対し、同人が直接債務者に面接して委任を受けたか否かを確認し、もし被告組合から委任状を受け取ったにすぎないことが明らかになった場合には、民法一〇八条ただし書の例外に当たらないものとして、公正証書の作成を拒絶すべきであった。

(3) しかるに、戊田は、右の点につき何ら意を用いなかった。

(五)(1) 戊田は、被告組合から反復継続して公正証書の作成嘱託を受けるため被告組合専用の定型用紙を印刷し、被告丁山から委任状の内容について相談を受けていたほどであるから、被告組合が割賦購入あっせん業務を行い、あわせて貸金業務を行っていたことを知っていたか、少なくとも知るべきであった。したがって、戊田は、被告組合からの嘱託により公正証書を作成するに当たり、被告丁山に確認する等の方法により、「買掛代金」ではなく立替金ではないか、「買掛代金」の中に利息制限法や割賦販売法の規制を受ける債権が含まれていないかを確認すべきであった。

(2) しかるに、戊田は、右の義務に著しく違反し、請求権の同一性を欠き、利息制限法及び割賦販売法に違反する本件公正証書を作成したものである。

9  損害

(一) 訴訟費用・弁護士費用

三〇万円

原告は、本件公正証書による強制執行を受けたため、請求異議の訴え(当庁北見支部昭和六三年(ワ)第九号)を提起し、強制執行停止決定(当庁北見支部昭和六三年(モ)第四号)を得ることを余儀なくされた。

原告は、右手続を弁護士今瞭美及び同今重一に委任し、次の金員の支払を約束した。

(1) 着手金 二五万円

(2) 訴訟費用 合計五万円

印紙代 二万〇五〇〇円

予納郵券 四三〇〇円

その他の費用 二万五二〇〇円

(二) 慰謝料 二七〇万円

原告は昭和二二年より雪印乳業株式会社に勤務しているが、これまで一度も不祥事を起こしたことはなく、また、原告の勤務する工場で給料の差押えを受けた者もなかった。原告は、被告組合申立てによる債権差押命令が原告の勤務する興部工場だけでなく本社にまで送付されたため、極めてだらしのない人間であるかのような評価を受けることとなり、長年にわたって勤勉で真面目に働いていた勤務先における信用を失墜し、また、長期間にわたって給料から四分の一の引き去りを受けたため精神的苦痛を受けた。その慰謝料の額は二七〇万円を下らない。

10  よって、原告は、被告らに対し、不法行為(被告国に対しては国家賠償法一条)による損害賠償として各自金三〇〇万円及び不法行為の後である平成元年六月九日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  被告組合及び同丁山の請求原因に対する認否及び主張

1  請求原因1(一)の事実は認める。

同1(二)の事実のうち、乙信用の設立理由及び被告組合との関係は否認し、その余の事実は認める。

同1(三)、(四)の事実は認める。

2  同2の事実は認める。

3  同3の事実は認める。

4  同4の事実は認める。

5(一)  同5(一)の事実のうち、原告が保証人であったことは認め、その余の事実は否認し、同5(一)(2)、(3)の事実は否認する。

原告は、本件公正証書の送達を受けた後、主債務者である一郎や同人の妻花子に対し一切苦情を言っていないし、昭和六二年一一月末ころ及び昭和六三年一月初めころ、被告組合担当者に対し、本件の各債務を支払う旨約束していることからすると、原告は、本件公正証書の作成嘱託を委任していたものであり、少なくとも無権代理行為を追認した。

(二)(1)  同5(二)(1)の事実は明らかに争わない。

(2) 同5(二)(2)の主張は争う。

(三)  同5(三)(1)の事実は認め、同(2)の主張は争う。

(四)  同5(四)の事実は明らかに争わない。

(五)  同5(五)の主張は争う。

(六)  同5(六)の事実は否認する。

6(一)  同6(一)の事実は否認する。

(二)  同6(二)(1)の事実は否認するが、同(2)の事実は認める。

7(一)  同7(一)の事実及び主張は、否認あるいは争う。

(二)(1)  同7(二)(1)の事実は明らかに争わない。

(2) 同7(二)(2)、(3)の事実は否認する。

(三)  同7(三)の事実及び主張は、否認あるいは争う。

(四)  同7(四)の事実は否認する。

(五)  被告丁山は、被告組合から各当事者が主要な事項を明記した委任状を受け取り、同組合の依頼により、右委任状に記載されたとおりの内容の公正証書を作成嘱託したものである。また、一般に、原告のような当事者が公正証書の作成嘱託を他に委任するのは、公証役場に出頭する煩を避けるためであって、被告丁山の行為は、実質的には公正証書作成嘱託の代行にすぎず、委任状の記載を信頼すれば足り、一々委任者に確認すべき義務はない。

8(一)  同9(一)、(二)の事実は否認する。

(二)  次の事情は、過失相殺事由として、又は損害額の算定に当たり考慮されるべきである。

(1) 原告は、一郎の要求により実印と印鑑登録証明書を手渡したものであり、その際一郎に契約の内容の詳細を問い質したり、被告組合に確認したりしていれば本件公正証書は作成されなかった。

(2) 原告は、本件公正証書の送達を受けてから強制執行がなされるまでに相当の期間があり、しかも被告組合から再三支払の催告を受けたにもかかわらず、被告組合に対し、同公正証書が自らの意思に基づかないものと主張したりせず、かえって、前記のとおり二回にわたり本件の各債務を支払う旨約束している。

(3) 原告は、本件強制執行を受けたからといって、勤務先からいかなる不利益処分も受けていない。

三  被告国の請求原因に対する認否及び主張

1(一)  請求原因1(一)、(二)の事実は不知。

(二)  同1(三)、(四)の事実は認める。

2  同2の事実は認める。

3  同3の事実は不知。

4  同4の事実は不知。

5(一)  同5(一)(1)の事実のうち原告が保証人であったことは認め、その余の事実は否認し、同(2)、(3)の事実は不知。

(二)  同5(二)(1)の事実は不知、同(2)の主張は争う。

(三)  同5(三)(1)の事実は否認し、同(2)の主張は争う。

(四)  同5(四)(1)の事実は不知、同(2)の主張は争う。

(五)  同5(五)の主張は争う。

特に、本件のように債務者がその支払を怠り、債権者が債務の支払時期を猶予する場合、利息制限法の範囲内で年六パーセントを超える約定がなされても、直ちに違法となるものではない。

(六)  同5(六)の事実は不知。

6(一)  同8(一)の主張は争う。

公正証書の作成に当たり、公証人は、原則として嘱託人から提出された委任状その他の書類のみに基づいて審査をするという形式的な審査の権限及び義務を負うにすぎず、仮に右審査の権限が実体的なものに及ぶとしても、形式的な審査の結果、公証人法施行規則一三条一項で規定されている「法律行為が有効であるかどうか、当事者が相当の考慮をしたかどうか又はその法律行為をする能力があるかどうかについて疑があるとき」に関係人に注意をし、必要な説明をせしむべき範囲での権限と義務にすぎない。

本件において、戊田は、被告丁山から提出のあった委任状及び印鑑登録証明書について、前記の形式的審査の義務の範囲内において適法に審査したところ、委任状には強制執行認諾条項等公正証書を作成するために必要な内容はすべて網羅されており、かつ、債務者らの署名押印があり、同押印に一致する同人らの印鑑登録証明書の提出があったものである。

しかも、本件準消費貸借契約及びその目的となっていた買掛代金債務の発生について、法令違反の存在、法律行為の無効を疑うような事情を見いだし得なかったため、委任状の趣旨に従って本件公正証書を作成したものである。

(二)(1)  同8(二)(1)の事実は否認する。

(2) 同8(二)(2)の事実は明らかに争わない。

(3) 同8(二)(3)の主張は争う。

原告が主張する公証人の嘱託人に対する直接の調査・助言義務等は、代理嘱託が認められ(公証人法三一条)、それによる方法が原則的な形態となっている我が国においては認めがたいし、原告主張の事情も本件において嘱託人本人に確認すべき義務を基礎づけるものではない。

また、戊田は、債務者が代理人によって公正証書の作成を嘱託した本件において、原告に対し、本件公正証書作成後、同公正証書を作成した旨の通知をしている(公証人法施行規則一三条の二)。

(三)  同8(三)の主張は争う。

委任状にどの程度原債務の内容を明らかにすべきかについては、必ずしも定まった見解があるわけではない。原債務のすべてを記載することが当事者にとって好ましいとはいえても、法的にそうでなければならないことにはならない。委任状を作成した当事者にとって必要と思われる範囲のことが記載されていれば、契約自由の原則からして、それで足りるものと解するのが相当である。

本件の場合、原債務を「衣類等の買掛代金」としており、債務者が被告組合から購入した衣類ほか何点かの商品の買掛代金を意味することを容易に理解でき、その範囲での特定はされているものである。

(四)(1)  同8(四)(1)の事実は明らかに争わない。

(2) 同8(四)(2)の主張は争う。

代理人が既に当事者間で取り決められた内容についての公正証書作成に携わるだけで、代理人による内容の変更がない場合には、双方代理禁止の規定に違反しないところ、本件の場合も、当事者間で既に合意済みであるということは、委任状に具体的内容が記載されていたことから明らかであり、代理人による内容変更もなかったから、双方代理禁止の規定に違反する疑いを持つ余地はなかった。

(五)  同8(五)(1)の事実及び主張は、否認あるいは争う。

本件委任状には、原債務として衣類等の買掛代金と記載されており、貸金を示す記載は一切なかった。

また、本件委任状の定型用紙の作成の際、戊田は乙信用の存在につき認識がなく、司法書士である被告丁山の説明内容にも、衣類等の買掛代金の中に貸金が含まれるとの説明はなかった。

また、信販会社、販売業者、顧客の三者間の法律関係について、大別すると、立替金の場合と債権譲渡の場合とがあり、「衣類等の買掛代金」を立替金であると疑うことはできない。

のみならず、仮に当該関係が立替金の求償関係であったとしても、右求償金は、実質的には売買代金が変容したものといえ、特に顧客にとっては信販会社に対し売買代金債務を負っていると観念されることが多いのが実際であり、実質的には売買代金とみても差し支えないものである。

しかも、被告組合が購入者に対して有する債権がすべて割賦販売法に規定する割賦購入あっせん業務により生じたものとは限らない(実際上多く行われている一回払い及び二回払いによる取引は、割賦購入あっせん業務には当たらない(割賦販売法二条三項参照)。)。

さらに、準消費貸借契約が結ばれた場合年六パーセントを超える利息等の約定が直ちに違法となるものではないことは、前記5(五)で述べたとおりである。

7  同9(一)、(二)の事実は不知。

第三  証拠<省略>

理由

一当事者について

1  <書証番号略>及び原告本人尋問の結果によれば、請求原因1(一)の事実(原告の地位)が認められる(原告と被告組合及び同丁山との間では争いがない。)。

2  <書証番号略>並びに証人田中の証言によれば、請求原因1(二)の事実(被告組合の業務内容)が認められる(乙信用の設立理由及び被告組合との関係を除く点は、原告と被告組合及び同丁山との間では争いがない。)。

3  請求原因1(三)(被告丁山の地位)及び(四)(戊田の地位)の事実は、当事者間に争いがない。

二本件公正証書の作成等について

1  請求原因2の事実(本件公正証書の作成)は、当事者間に争いがない。

2  <書証番号略>及び原告本人尋問の結果によれば、請求原因3の事実(給料差押え)が認められる(原告と被告組合及び同丁山との間では争いがない。)。

3  <書証番号略>、証人田中の証言及び弁論の全趣旨によれば、請求原因4の事実(原債務の内容)が認められる(原告と被告組合及び同丁山との間では争いがない。)。

三本件公正証書の作成経過について

1  次の事実が認められる。

(一)  一郎は、昭和六〇年七月一二日、北見トヨペットから自動車を購入するに当たり、被告組合との間で、次の内容の立替払契約を結んだ。

(1) 被告組合は、北見トヨペットに対し、自動車代金一七八万円を立替払する。

(2) 一郎は、被告組合に対し、右代金一七八万円と手数料六四万〇八〇〇円との合計二四二万〇八〇〇円を昭和六〇年八月から昭和六四年七月まで毎月末日限り五万〇四三〇円ずつ(初回は五万〇五九〇円)支払う。

(<書証番号略>、原告本人尋問の結果)

(二)  原告は、一郎の被告組合に対する前項記載の債務につき、連帯保証人となっていた。

(当事者間に争いがない。)

(三)  一郎は、昭和六〇年一〇月一一日、日専連カード会員となったが、同カード利用による貸金債務及び買物関係債務として、昭和六二年三月二四日現在、別表一ないし三記載のとおりの債務を負っていた。

(<書証番号略>)

なお日専連カード利用による買物関係債務は、立替金債務である。

(<書証番号略>原告と被告組合及び同丁山との間では争いがない。)

(四)  原告は、日専連カード会員入会申込書(<書証番号略>)上、一郎の連帯保証人となっているが、原告はこれを否認している。<書証番号略>によれば、被告組合担当者が原告の妻に保証意思を確認したことがうかがわれるが、一郎が母(原告の妻)に連帯保証人になってくれるよう依頼し、原告にはその旨が十分伝わっていない可能性も残り、結局、原告が日専連カード分につき連帯保証人になったことを認めるに足りる証拠はないといわなければならない。

(五)  一郎は、昭和六二年一月ころからマイカーローン分及び日専連カード利用分の支払を遅滞するようになり、被告組合担当者から電話や訪問の方法により支払の催促を受けていた。

一郎は、仕事の都合上夜遅く帰宅するため、妻花子を介して被告組合と折衝してきたが、昭和六二年三月一七日ころ、被告組合担当者壬川七郎(以下「壬川」という。)に対し、マイカーローンの同年一、二月分一〇万〇八六〇円及び日専連カード利用の同年二月分二七万九五五九円を同年三月二三日までに支払うことを約束したが、右二三日には、マイカーローン分の支払はしたものの、日専連カード利用分の支払はできなかった。

(<書証番号略>)

(六)  そのため、花子は、壬川との間で、再度支払について折衝し、昭和六二年三月二四日ころ、①被告組合の計算に基づく債務額が二六八万二〇四〇円であること、②毎月の支払額を一〇万円程度とすること、③連帯保証人として、一郎の父である原告と花子の父である庚谷を立てること、及び、④公正証書を作成することを合意し、花子が、金額等が既に記載された本件委任状(<書証番号略>)及び確認書(<書証番号略>)の債務者欄に一郎名義で署名捺印した。

(<書証番号略>)

なお、原告は、被告組合担当者は花子に対しても公正証書を作成することやその法的意味を説明しなかった旨主張するけれども、<書証番号略>によれば、花子は、一回でも支払が遅れたら一郎や保証人の給料が差し押さえられることになるから気をつけるようにと言われたと証言しており、公正証書を作成すること及びその法的意味を十分理解していたものと認められる。

(七)  壬川は、花子に対し、原告らに自筆で委任状に署名捺印してもらい、印鑑登録証明書をもらってくるよう指示したが、一郎及び花子は、同年四月初めころ、原告に対し、マイカーローンの切替えのために必要であると伝え、原告から実印と印鑑登録証明書(<書証番号略>)を預かり、一郎において、委任状の保証人欄に原告名義の署名捺印をした上、印鑑登録証明書とともに壬川に提出した。

一郎らが原告に総債務額や公正証書を作成する旨の説明をしなかった理由は、多額の債務を負っていることを父親に言い出しにくかったし、自分たちで支払をしていけば原告に迷惑をかけることはないだろうと軽信したことにあると推認される。

(<書証番号略>、原告本人尋問の結果、弁論の全趣旨)

なお、<書証番号略>中には、壬川が委任状用紙を直接郵送して原告の署名捺印を求めた旨の記載があるが、<書証番号略>及び原告本人尋問の結果に照らし、採用できない。

(八) 本件公正証書に表示された準消費貸借の原債務の内容は、前記二3に認定のとおりである。

これによれば、被告組合は、

(1) マイカーローン分については、昭和六二年四月分以降の残債務を手数料相当分を含んだまま準消費貸借契約における元本とし、

(2) 日専連カード利用による貸金分については、アドオン方式により実質年率四五パーセント程度にも及ぶ利息を加えておりながら、利息制限法違反部分の元本充当計算を行わずに、残額全部を準消費貸借契約における元本とし(被告組合及び同丁山は明らかに争わない。)、

(3) 日専連カード利用による買物関係債務分についても、手数料相当分を含んだ当時における残額全部を準消費貸借契約における元本とし、

(4) それらに、分割支払を認めることによる利息の趣旨と思われる一九万九六八四円を加算し、

(5) さらに、右全額につき利息年一五パーセント及び期限の利益を失った場合の遅延損害金を年三〇パーセントとする

本件公正証書の作成嘱託をしたものである。

(<書証番号略>、証人発田及び同田中の各証言)

(九)  本件公正証書の作成嘱託につき債権者代理人となっている己田は、被告丁山の下で事務員として働いている者である。

(被告丁山本人尋問の結果。被告組合及び同丁山は明らかに争わない。)

2  以上に認定の事実によれば、

(一)  原告が本件公正証書の作成嘱託を委任したことを認めるに足りる証拠はないから、本件公正証書は、原告に関する部分につき無効であるといわなければならない。

なお、被告組合及び同丁山は、原告は本件公正証書の作成嘱託を追認したと主張するが、公証人法三二条三項によれば、無権代理行為の追認のためにはその旨の公正証書の作成が必要であると解されるところ、本件において追認のための公正証書が作成されたとの主張はないから、被告組合らの主張は主張自体失当である。

(二)  双方代理の点については、本件は、端的に無権代理により無効と解すれば足りる。

(三)  請求権の同一性の点については、マイカーローン分及び日専連カード利用による買物分は、本来立替金債務であり、これを「債権者の加盟店から買受けた衣類等の買掛代金」と表示することの当否については、多大の疑問が存するといわなければならないが、右の表示は被告組合が販売したと表示しているものではなく、辛うじて被告組合による立替金債権か又は譲受債権を表していると解することが可能であるから、請求権の同一性を欠くとまで解することはできない。

(四)  利息制限法に違反している点は、前記1に認定したとおりである。

(五)  割賦販売法に関しては、マイカーローン分及び日専連カード利用による買物分のうち分割支払回数が二か月以上にわたり三回以上のものは、遅延損害金が年六パーセントに制限される(割賦販売法三〇条の三)。そして、この理は、立替金残債務を原債務として準消費貸借契約が結ばれた場合にも同様に当てはまるものと解すべきである。

したがって、少なくとも利息年一五パーセント及び遅延損害金年三〇パーセントとの約定は割賦販売法三〇条の三の規制に違反するものといわなければならない。

四被告組合の過失の有無について

1 前記三1に認定の事実によれば、被告組合担当者壬川は、原告に直接会って公正証書の意味を説明したり、委任状に署名捺印を求めることはしなかったが、花子に対しては公正証書の意味を説明した上原告本人に署名捺印してもらうよう指示していたところ、一郎及び花子は、多額の債務を負っていることを父である原告に知られないよう虚偽の理由を伝え、原告においても書面の内容を自分で確認しようとはせずに実印等を一郎に手渡しているものである。したがって、これらの事実関係の下では、被告組合担当者が原告の有効な代理人選任依頼契約がなかったことを知らなかったことにつき過失があったと解することはできない。

2  しかしながら、被告組合が割賦購入あっせん業務を営み、それに付随して貸金業務を営む業者であることからすると、被告組合がいわばシステムとして利息制限法違反及び割賦販売法違反の内容の本件公正証書の作成嘱託をし、それに基づき強制執行を行ったことには、今瞭美弁護士の通告(請求原因6(二)(2))を待つまでもなく、少なくとも重大な過失があったと言わざるを得ない。

よって、被告組合は、右の過失によって原告に生じた損害を賠償する義務がある。

五被告丁山の過失の有無について

1 前記三1に認定の事実に加え、次の事実が認められる。

(一)  被告組合担当者発田は、昭和六二年五月二〇日前ころ、必要書類がそろったので、本件委任状(<書証番号略>)と一郎、原告及び庚谷の印鑑登録証明書(<書証番号略>)を被告丁山の事務所に持参し、公正証書の作成嘱託を依頼した。

(<書証番号略>、証人発田の証言、被告丁山本人尋問の結果)

(二)  被告丁山が受領した段階では、本件委任状の書込み部分はすべて記入され、一郎、原告及び庚谷の各住所、職業及び署名欄の記入及び捺印もすべてなされていたが、原告の住所は興部町泉町から紋別郡興部町字興部○○○番地×××に訂正され、庚谷の住所も訂正されていた。

(<書証番号略>、証人発田の証言、被告丁山本人尋問の結果。本件委任状中の原告の住所の訂正の点は、被告丁山及び同国において明らかに争わない。)

(三)  被告丁山は、本件委任状及び印鑑登録証明書を検討し、問題がないものと考え、戊田に対し、本件公正証書の作成を嘱託した。

(被告丁山本人尋問の結果)

(四)  被告丁山は、昭和四七、八年ころから、被告組合を債権者とする公正証書の作成嘱託を依頼されていたが、被告組合が割賦購入あっせん業務及びそれに付随して貸金業務を行っている業者であること並びに本件のような公正証書は、顧客が月々の支払を遅滞した場合に作成されるものであることを知っていた。

また、被告丁山は、一時期、被告組合を債権者とする支払命令申立書の作成を依頼されていたが、その際には、利息制限法超過部分の元本充当計算をした支払命令申立書を作成していた。

(被告丁山本人尋問の結果)

(五)  被告組合は、昭和六〇年ころ、専門店会同士の知識の交換により、従来の債務承認弁済契約に代えて準消費貸借契約を内容とする公正証書を作成することを計画し、被告丁山に対し、委任状の定型用紙の内容を公証人とも相談して検討してほしいと依頼した。被告丁山は、本件委任状の内容に近いものを素案として戊田に示したところ、戊田の意見で一部修正が加えられた。

被告組合は、それ以後、「債権者の加盟店から買受けた衣類等の買掛代金」を内容とする委任状用紙(本件委任状と同じもの)を使用している。

(<書証番号略>、証人戊田及び同田中の各証言、被告丁山本人尋問の結果)

(六)  被告丁山は、平均して月二〇件程度の被告組合を債権者とする公正証書の作成嘱託を行ってきたが、貸金分が公正証書の作成嘱託上どのように扱われているのかを被告組合に確認したことはなかったし、「買掛代金」との表示が貸金を含む趣旨に訂正された委任状での公正証書の作成嘱託を依頼されたこともなかった。

(被告丁山本人尋問の結果)

2  執行認諾条項のある公正証書(執行証書)は債務名義としての効力を有し、直ちに強制執行を行い得ることになるから、債権者を介して債務者から公正証書の作成嘱託の委任を受けた司法書士は、債権者から提出された委任状その他の書類に基づいて検討し、法令違反の存在や法律行為の無効等の疑いが生じた場合はもちろん、当該委任事務処理及びそれ以前の事務処理の過程で知った事情等から法令違反の存在等の疑いが生じた場合においても、債権者等に必要な説明を求めるなどして、違法な公正証書の作成嘱託をしないようにする義務があると解する。

3  本件における被告丁山の過失の有無について判断する。

(一)  信販業務を行う被告組合から依頼された公正証書の作成嘱託であることから原告本人に作成嘱託意思の有無を確認すべき義務があったと解することはできないし、公的な住所と俗称的な住所の併存することが多い北海道の実情の下では、原告の住所が訂正されていた事実等のみから原告の作成嘱託意思を確認すべき義務があったと解することもできない。

(二)  双方代理の点についても、本件委任状の記載上は公正証書の内容となるべき事項についてすべて合意がされていたから、顧客が約定どおりの支払を怠った場合に作成される公正証書であることを知っていた等の事実から、取引内容について意見の対立があったか否かを原告に確認すべき義務があったと解することはできない。

(三)  しかしながら、被告丁山は、被告組合が割賦購入あっせんを業として行っていることを知っており、本件委任状にも「債権者の加盟店から買受けた衣類等の買掛代金」と記載されていたのであるから、その中に割賦販売法三〇条の三の年六パーセントの規制が働く取引が含まれているのではないかと疑い、この点を被告組合等に確認すべき義務を有していたところ、これを怠った過失があるといわなければならない。確かに、割賦販売法は、利息制限法ほどには一般的に知られていないため、その強行法規としての適用が見落されがちであることは当裁判所としても十分認識しているところであるが、被告丁山が司法書士として公正証書の作成嘱託業務を処理する以上、割賦販売法三〇条の三の適用の点に思い至らなかった点は、やはり過失があると考えざるを得ない。

(四) さらに、被告丁山は、「買掛代金」の中に利息制限法に違反する貸金債権が含まれているのではないかと疑い、その点を被告組合らに確認すべき義務を負っていたところ、それを怠ったため、利息制限法に違反する内容の公正証書の作成嘱託をした過失があるといわなければならない。

確かに、被告丁山が被告組合から単発的に公正証書の作成嘱託を依頼されたのであれば、本件委任状(<書証番号略>)の記載内容から貸金の点についてまで疑問を持つべきであるとすることは無理であろう。しかしながら、被告丁山は、以前の支払命令申立書の作成や委任状の定型用紙の内容の検討により、被告組合が賃金業務も行っており、その利息は利息制限法の制限を超えていること及び顧客の不履行を契機として公正証書が作成されることを知っていたが、被告組合に対し、貸金分は公正証書の作成嘱託上どのように扱っているのかを確認したことはなく、貸金分が適正に処理されていると信じるに足りる相当な根拠もなかったものである。このように、被告丁山が被告組合の営業内容を知り、継続的にその債権管理業務の一環をなす公正証書の作成嘱託に関与しながら、公正証書の作成嘱託に当たり、貸金分がどのように処理されているのか何ら確認しなかった点は過失ありと解さざるを得ない。

(五)  よって、被告丁山は、右の過失によって原告に生じた損害を賠償する義務がある。

六戊田の過失の有無について

1 前記三1、五1に認定の事実に加え、次の事実が認められる。

(一)  被告丁山の事務員は、昭和六二年五月二〇日ころ、本件委任状(<書証番号略>)と原告らの印鑑登録証明書(<書証番号略>)を戊田の所属する△△公証役場に持参し、公正証書の作成を嘱託した。

(<書証番号略>、証人戊田の証言、被告丁山本人尋問の結果)

(二)  戊田が受領した段階でも、本件委任状の書込み部分はすべて記入され、原告らの各住所、職業及び署名欄の記入及び捺印もすべてなされていたが、原告と庚谷の住所は前記のとおり訂正されていた。

(<書証番号略>、証人戊田の証言、被告丁山本人尋問の結果)

(三)  戊田は、本件委任状及び印鑑登録証明書を審査し、問題がないものと判断し、本件公正証書を作成した。

(証人戊田の証言)

(四)  戊田は、以前から、本件のような公正証書は、被告組合の顧客が月々の支払を遅滞した場合に作成嘱託されるものであることを知っていた。

(証人戊田の証言)

(五)  戊田は、昭和六〇年ころ、被告丁山から、本件委任状の内容に近い素案を示され、被告組合が以後使用する定型の委任状として何か問題があるか否かの相談を受けた。

その際、戊田は、被告組合の入会案内書(<書証番号略>)を検討し、委任状の定型用紙の素案の一部に修正を加えた。そして、自らは、それと同内容の公正証書の定型用紙を印刷し、以後被告組合を債権者とする公正証書の用紙として使用している。

(<書証番号略>、証人戊田の証言、被告丁山本人尋問の結果)

(六)  被告組合の入会案内書(<書証番号略>)には、日専連カード会員になると、分割支払によるショッピングができること、キャッシングサービスも受けられること及びキャッシングの実質年率は年四五パーセント程度であることが記載されていたのであり、この事実からすると、戊田は、被告組合が割賦購入あっせん業務に付随して貸金業務も行い、その実質利息が年四五パーセントにも及んでいたことを知っていたと認定せざるを得ない。

(<書証番号略>、証人戊田の証言)

(七)  戊田は、昭和六〇年以後、右の定型委任状により被告組合から公正証書の作成嘱託を受けてきたが、被告丁山や被告組合担当者らに、貸金分を公正証書の作成嘱託上どのように扱っているのか確認したことはなかったし、「買掛代金」との表示が貸金を含む趣旨に訂正された委任状により公正証書の作成嘱託されたこともなかった。

(証人戊田の証言)

2  公証人は、債権者から提出された委任状その他の書類に基づいて審査し、法令違反の存在、法律行為の無効等の疑いが生じた場合はもちろん、当該公証事務処理及びそれ以前の事務処理の過程で知った事情等から法令違反の存在等の疑いが生じた場合においても、債権者等に必要な説明を求めるなどして、違法な公正証書を作成しないようにする義務があると解する。

被告国の主張が、委任状その他の書類の審査に限られ、他の事情を一切考慮すべき義務がないことまで意味するのであれば、当裁判所は右主張と見解を異にする。公証人が法令違反等の存在を審査する際に基本となる資料が委任状その他の関係書類であることは、被告国の主張するとおりであるが、当該公証事務処理及びそれ以前の事務処理の過程で知った事情等も審査の資料に加えるべきは当然であり、そのことを公証人に要求したとしても、公証人に過大な負担を課することにはならないと解する。

3  本件における戊田の過失の有無について判断する。

(一)  本件公正証書が準消費貸借契約を内容とするものであること等を理由として、被告組合等に原債務の内容を確認すべき義務があったと解することはできないし、顧客の支払遅滞により公正証書が作成嘱託されることを知っていたこと及び原告らの住所の訂正等のみから原告に作成嘱託意思を確認すべき義務があったと解することもできない。

(二) 双方代理の点についても、前記五3(二)に述べたところと同様である。

(三)  しかしながら、戊田は、被告組合が割賦購入あっせんを業として行っていることを知っており、本件委任状にも「債権者の加盟店から買受けた衣類等の買掛代金」と記載されていたのであるから、その中に割賦販売法三〇条の三の年六パーセントの規制が働く取引が含まれているのではないかと疑い、この点を被告組合等に確認すべき義務を有していたところ、これを怠った過失があるといわなければならない。

戊田は、本件公正証書の作成当時、準消費貸借契約が結ばれれば年六パーセントの規制は及ばなくなると考えた旨証言する。仮にこの証言を採用したとしても、戊田が本件公正証書を作成した当時かような考え方が相当の根拠をもって主張されていたことを認めるに足りる証拠はないから、この点の誤信をもって割賦販売法違反の点につき過失なしと解することはできない。

(四)  さらに、戊田は、「買掛代金」の中に利息制限法に違反する貸金債権が含まれているのではないかと疑い、その点を被告組合らに確認すべき義務を負っていたところ、それを怠ったため、利息制限法に違反する内容の本件公正証書を作成した過失があるといわなければならない。

確かに、戊田が被告組合から単発的に公正証書の作成を嘱託されたのであれば、本件委任状(<書証番号略>)の記載内容から貸金の点についてまで疑問を持つべきであるとすることは無理であろう。しかしながら、戊田は、委任状及び公正証書の定型用紙の内容を検討した際、被告組合が貸金業務も行っており、その利息は利息制限法の制限を超えていること及び顧客の不履行を契機として公正証書が作成されることを知っていたが、被告組合に対し、貸金分は公正証書の作成嘱託上どのように扱っているのかを確認したことはなく、貸金分が適正に処理されていると信じるに足りる相当な根拠もなかったものである。このように、戊田が委任状の定型用紙の作成の際被告組合の営業内容を知り、自らも被告組合専用の公正証書の定型用紙を印刷しておきながら、公正証書の作成嘱託上貸金分がどのように処理されているのかについて何ら確認しなかった点は過失ありと解さざるを得ない。

(五)  よって、被告国は戊田の右過失行為により原告に生じた損害を賠償する義務がある。

七損害について

1  次の事実が認められる。

(一)  原告は、本件公正証書による給料差押えを受けたため、本件公正証書の執行力の排除を求めて、一郎及び庚谷とともに、請求異議の訴え(当庁北見支部昭和六三年(ワ)第九号)を提起し、あわせて担保を提供して強制執行停止決定(同支部昭和六三年(モ)第四号)を得ることを余儀なくされた。

原告は、それらの手続を今瞭美弁護士らに委任し、着手金として二五万円を支払うことを約束した。

右請求異議の訴えの貼用印紙代として二万〇五〇〇円を要したが、原告の負担分はその三分の一である六八三三円であると認められる。

また、予納郵券代として四三〇〇円を予納したことは容易に推認されるが、そのうち使用された額がいくらであるかの点を認めるに足りる証拠はない。

その他の費用を認めるに足りる証拠はない。

(<書証番号略>、原告本人尋問の結果、弁論の全趣旨)

(二)  昭和六二年一二月末ころ債権差押命令が原告の勤務する雪印乳業株式会社興部工場に送達され、さらに、その本社にも報告されたため、原告は、担当課長から事情を尋ねられるなど居心地の悪い思いをした。

(<書証番号略>、原告本人尋問の結果)

(三)  戊田は、本件公正証書を作成した昭和六二年五月二〇日すぎころ、原告に対し、公証人法施行規則一三条の二に基づき、原告を債務者とする公正証書を作成した旨を通知した。

(<書証番号略>、証人戊田の証言)

(四)  昭和六二年七月ころ、本件公正証書謄本が原告に送達された。原告は驚いて一郎や花子に事情をきいたが、両名からはっきりした説明はなかった。しかし、原告は、結局本件公正証書の件をそのままにしておいた。

(原告本人尋問の結果、弁論の全趣旨)

(五)  昭和六二年一一月下旬ころ、被告組合担当者発田は、原告に支払を催促した。原告は、「一郎と連絡をとって一二月一二日ころまでには遅れ分をきちんと支払う。」と約束したが、右期日に支払は行われなかった。

なお、原告は、発田から催促を受けた際、自分は公正証書の作成を委任していない等と主張したことはなかった。

(証人発田の証言、原告本人尋問の結果)

(六)  また、給料差押後の昭和六三年一月上旬、原告は庚谷とともに被告組合事務所を訪れ、「一郎一家が行方不明となった。自分と庚谷が責任をもって支払うので、支払方法について相談にのってほしい。」と依頼した。

(証人発田の証言、原告本人尋問の結果)

2  まず、被告組合に過失があったと認められる点は、前記判示のとおり利息制限法違反及び割賦販売法違反の点であるから、被告組合に請求できる損害も右の点の違法を排除するために要した費用と右の点の違法によって生じた慰謝料に限られる。

そうすると、本件においては、まず、請求異議の訴え等のために要した弁護士費用等のうち五万円を損害と認めるのが相当である。次に、慰謝料については、利息制限法違反等の点を考慮しても被告組合の原告に対する債権が残っていたものではあるが、被告組合の利息制限法違反等の点についての過失は重大なものといわなければならないこと及び勤務先を第三債務者とする債権差押えはその影響が大きいこと等の事情からすれば、過大な債権により給料の差押えを受けたことによる精神的損害に対する慰謝料として三万円を認めるのが相当である。

3  被告丁山及び戊田の過失は、被告組合による違法な公正証書の作成嘱託を見落した点にあるところ、原告が弁護士に相談するなどして本件公正証書の執行力の排除の手続を執っていれば給料差押えを受けずにすんだと認められるから、かような手段を執ることを怠ったことによる損害については、特段の事情のない限り、被告丁山及び同国に請求することはできないと解すべきである。そうすると、本件においては、被告丁山及び同国に対し、各自弁護士費用等のうち五万円は請求できるが、給料差押え等による慰謝料は請求できないといわなければならない。

(被告組合、同丁山及び同国は五万円の限度で不真正連帯の関係にあることになる。)

八結論

よって、原告の請求は、被告組合に対し不法行為による損害金八万円、被告丁山に対し同五万円、被告国に対し国家賠償法による損害金五万円及びこれらに対する不法行為の後である平成元年六月九日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は失当であるから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条を適用し、仮執行宣言につき同法一九六条一項を適用し、仮執行免脱宣言は相当でないのでこれを付さないこととし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官市川正巳 裁判官牧真千子 裁判官千葉和則は、転補のため、署名、押印することができない。裁判長裁判官市川正巳)

別表

利用年月日(昭和)

貸付額

手数料

支払方法

(年号は昭和)

昭和六二年三月

二四日現在の残額

ア 六一年四月五日

一〇万円

一〇回払のアドオン方式による二四パーセント

(二万四〇〇〇円)

六一年五月から六二年二月まで毎月二七日限り一万二四〇〇円ずつ支払う。

一万二四〇〇円

イ 六一年七月一日

一〇万円

一〇回払のアドオン方式による二四パーセント

(二万四〇〇〇円)

六一年八月から六二年五月まで毎月二七日限り一万二四〇〇円ずつ支払う。

四万九六〇〇円

ウ 六一年一〇月二日

一〇万円

一〇回払のアドオン方式による二四パーセント

(二万四〇〇〇円)

六一年一一月から六二年八月まで毎月二七日限り一万二四〇〇円ずつ支払う。

八万六八〇〇円

エ 六二年一月五日

一〇万円

一〇回払のアドオン方式による二四パーセント

(二万四〇〇〇円)

六二年二月から六二年一一月まで毎月二七日限り一万二四〇〇円ずつ支払う。

一二万四〇〇〇円

合計

二七万二八〇〇円

別表

購入場所

購入年月日(昭和)

購入代金額

昭和六二年三月二四日

現在の残額

東急

六一年一二月二二日

二万一九七〇円

一万〇九八〇円

木田呉服店留辺蕊

六二年一月一三日

四二六〇円

四二六〇円

メガネトップ

六二年一月一七日

三万七八〇〇円

三万七八〇〇円

HOW

六二年一月二九日

八二〇〇円

八二〇〇円

ホクホー紋別店

六二年二月一日

五三六〇円

五三六〇円

東急

六二年二月六日

九二〇〇円

九二〇〇円

東急

六二年二月九日

三万〇五六一円

三万〇五六一円

合計

一〇万六三六一円

別表

購入場所

購入年月日

(昭和)

購入代金額

手数料

分割

回数

昭和六二年

三月二四日

現在の残額

道東イスズ

六一年

七月三一日

一一万円

一万一〇〇〇円

一〇回

六万〇五〇〇円

長谷川産業

六一年

九月五日

八万六六〇〇円

七七九四円

一二回

六万二八八〇円

イトーヨーカドー旭川店

六一年

九月七日

五万二五三五円

三六七七円

一〇回

三万九三四〇円

藤井商店

六一年

一〇月四日

六万〇一二〇円

二四〇四円

五回

二万五〇〇〇円

タナダ留辺蕊

六一年

一〇月四日

四万七九四〇円

一九一七円

五回

二万九九一〇円

東急

六一年

一〇月六日

三万九八八〇円

二七九一円

一〇回

二万九八二〇円

ブックセンター小林

六一年

一〇月六日

二万一〇一〇円

八四〇円

五回

八七四〇円

紋別ファミリーデパート

森化粧品店

六一年

一〇月二〇日

一万四八六〇円

なし

三回

四九五〇円

北見タイヤ

六一年

一一月二日

五万〇八〇〇円

五〇八〇円

一〇回

四万四六四〇円

ホクホー紋別店

六一年

一一月三日

一万二三一〇円

なし

三回

八二〇〇円

タナダ留辺蕊

六一年

一一月一五日

三万七八〇〇円

なし

三回

二万五二〇〇円

杉本ふとん店留辺蕊

六一年

一一月一六日

二万八七五〇円

なし

三回

一万九一六〇円

藤井商店

六一年

一一月一八日

一万八八四〇円

なし

三回

六二八〇円

大槻薬局

六一年

一一月二〇日

一万四四〇〇円

なし

三回

四八〇〇円

石崎石油

六一年

一一月三〇日

二万九二一一円

なし

三回

九七三〇円

メガネスーパー

六一年

一二月一日

六万〇八〇〇円

なし

三回

四万〇五二〇円

ホクホー紋別店

六一年

一二月一日

三万五六三〇円

なし

三回

三万五六三〇円

東急

六一年

一二月九日

一万一一〇〇円

なし

三回

七四〇〇円

東急

六一年

一二月一五日

一万円

なし

三回

六六六〇円

ダイヤモンド

六一年

一二月一七日

一万一七四〇円

なし

三回

七八二〇円

東急

六一年

一二月一七日

一万四七〇〇円

五八八円

五回

一万二二〇〇円

藤井商店

六二年

一月二〇日

三万一七〇五円

一二六八円

五回

三万二九七三円

HOW

六二年

一月二九日

一万〇九〇〇円

なし

三回

一万〇九〇〇円

ニューマルサカ留辺蕊

六二年

一月三〇日

二万三四二〇円

なし

三回

二万三四二〇円

石崎石油

六二年

一月三一日

一万九一〇六円

なし

三回

一万九一〇六円

HOW

六二年

二月七日

三万〇九〇〇円

一二三六円

五回

三万二一三六円

東急

六二年

二月七日

四万七〇〇〇円

一八八〇円

五回

四万八八八〇円

山崎靴店留辺蕊

六二年

二月九日

一万〇四八〇円

なし

三回

一万〇四八〇円

石崎石油

六二年

二月二八日

二万三八八〇円

なし

三回

二万三八八〇円

合計

六九万一一五五円

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